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なりさの キラキラ日和 特別版/ただ、私は信じた道を。

2020.02.26

本誌で人気の「なりさのキラキラ日和」を連載している、実は元男性の “なりさ”さん。読者からのたくさん のリクエストにお応えして、女性として 生きる今に至るまでのお話、そしてこれからの目標について、等身大のなりささんをお届けします。

 

 

 

“女の子”として 青春したかった学生時代

 −心は女の子だと自覚したのはいつ?  
私の場合、自覚したという感覚はなく、自分は初めから女の子だと思っていました。小さい頃から仲が良いのは女の子ばかりで、好きなものも女の子っぽいものが多いことになんの違和感もなくて。周りからも何も言われず、母に大好きなセーラームーンのグッズをおねだりしたこともあります。もちろん好きになるのはいつも男の子でしたし、それを女の子の友達に普通に打ち明けていました。でもある時、「男の子が好きなのはおかしいよ」って言われて…。それからは、あまり周りに好きな男の子の話をしなくなりました。小学校3年生くらいのことだったかな。

 

 

−女性になりたいと思ったキッカケは?  
小さい頃からずっとそういう気持ちはあったんですけど、「女性になる!」という大きな決意をさせてくれた人は、初恋の人です。小学生の時にも好きな子はいましたけど、仲良しの延長線みたいな感じだったので、私の本当の初恋は中学2年生の時です。その時初めて恋の苦しさや切なさ、喜びを知りました。彼とは仲の良い友達で、普通に話したり遊んだりしていました。周りに気配りができて、先生や友達から頼りにされる、人として素敵な人。でも当時は男の子だったので女の子みたいに「好き」とは言えませんでした。それでもずっと彼のことが好きで、高校卒業後は、さらにすごく仲良くなって…。だからちょっと勘違いしてしまったのかな、勇気を出してその人に告白したんです。答えはNO。「男だから」って振られてしまいました。でもそのおかげで「女性になりたい!」って改めて思ったんです!小さい頃から漠然と思っていた気持ちが目標になった瞬間ですね。本格的に女性へのスタートを切りました。

 

 

“カミングアウト”する勇気は お父さんからもらった

 −周りへのカミングアウトはいつ?  
友達には高校時代にすでにカミングアウトしていました。仲の良い子はほとんど女の子だったので、なんとなく分かっていたんだと思います。「ありがとう、やっと言ってくれたね」という言葉をくれて、変わらず友達でいてくれたことに今でもとても感謝しています。その後友達のサポートもあり、高校を卒業してから父に伝えることができました。私の両親は私が小さい頃に離婚していて、父には1年に1回会うくらいの関係でした。正直なところ、会う時にはあえて少し男らしく振舞っていたはずなんですが、きっと察していたんでしょうね。  実は私が一番怖かったのは、母にカミングアウトすること。一番身近な存在でもある母に否定されることが、何より怖かった。でも父に言われた「お母さんはちゃんと話したら分かってくれる人だから、伝えておいで」という言葉に背中を押されました。伝えた時、やっぱりすごく怒ってしまい、私は友達の家に逃げるように出ていきました。でもしばらくして「帰っておいで」と母から長文のメールが届いたんです。家に戻ると、母の机の上には性同一性障害についての本が置いてありました。母なりに理解しようと考えてくれたその気持ちが、とても嬉しかったのを覚えています。それからは私を女の子として受け入れてくれています。

 

 

 

「女性になりたい」 ただ一心に突っ走った10年間

−「なりさ」はいつ生まれた?   
初恋の人に振られてから「女性になる!」と決めたのはいいものの、実際に女性になるにはどうしたらいいのか、色々迷っていました。ちょうどその頃、私が以前働いていた『セイラ』というショーパブのママ(以下セイラさん)に出会いました。友達が「この人なら女性になるために必要なことを色々教えてくれるよ」と、当時ゲイバーで働いていたセイラさんを紹介してくれたんです。そこで同じお店で働くことになり、『なりさ』という名前をもらいました。  私は小さい頃から踊りが好きで、ショーに強い憧れを持っていました。将来は東京のショーパブで踊りたいということをセイラさんに話すと「それなら私がショーパブを作るから、そこで働いてくれない?」と言ってくれて…。私はついに念願のショーパブデビューを果たしたんです!『セイラ』は今の「なりさ」を作り上げてくれた大切な場所。セイラさんは「なりさがいたから今のお店があるんだよ」と言ってくれますが、私はセイラさんのおかげで今こうして「なりさ」という女性でいられる。本当に感謝しかありません。

 

 

−女性となった今の気持ちは?  
昨年お店を辞めて性転換手術に踏み切りました。まだ一年ほど前の話ですが、手術前の不安は一切なく、「ようやく女性になることができる!」という期待の方が大きかったです。  でもいざ手術を終え、戸籍を変え、女性になるとモヤモヤとした不安が湧いてきました。明るい未来を信じたい、でもそこにたどり着くにはどうすれば良いのか、とても怖くなってきたんです。何より、「女性になる」という大きな人生の目標を達成したことで、一種の燃え尽き症候群みたいなものだったのかもしれません。でも今こうしてビオで『なりさのキラキラ日和』を連載することで、ショーパブの頃とは形は違うけれど、「自分を表現できている」ことにとても喜びを感じています!仕上がったページを見て私自身も不安が吹き飛ぶくらいパワーをもらっているので、読者の皆さんにも幸せが届いたらいいなと思っています。

 

 

 

 

 

今一番好きなことは?
ベッドの上でゲームをすること!「ウォーキングデッド」の影響でサバイバル系のゲームが好きなんですが、仲間と一緒にゲームをする時間が一番リラックスできて好き!生きてるって感じがします!登場人物になりきって「ちょっと待って、私が行く!」とかゲームの中でよく言ったりして(笑)。リアルなサバイバルゲームも沖縄でやってるらしいのでチャレンジしてみたいです!一回ゲームで銃の使い方とか基本を覚えたから、それを生かせるかも(笑)?

 

今後、挑戦して みたいことは?
ピアノを習いたいです!実は19歳くらいの時に一度習ってたんですけど、その時は大好きなaikoの曲を弾けるようになりたかったから。でも今回は作詞作曲できるようになりたいんです!私には「MVに出たい!」という目標があるんですけど、チャンスは待ってるだけじゃダメだと思って。だからピアノを弾けるようになって自分で作詞作曲して、もう自分のMVに出ちゃえ!みたいな心意気です(笑)。

 

 

 

憧れの女性は?
ミランダ・カーさん、梨花さん、矢野未希子さんです。この3人に共通しているなと思うのは、笑顔で人を幸せにできる力を持っていること!私は、この人たちを見ているとハッピーオーラを感じて、元気をもらうことができます♪私もいつか笑顔で人を幸せにしたり、見てくれている人たちに元気を分け与えることができるような女性になりたいです☆

 

aikoを好きになった キッカケは?
私が中学生ぐらいの時、MD(ミニディスク)を自分で作るのが流行ってたんです。そのためにTSUTAYAに行ってたまたま手に取ったのがaikoでした。家に帰って聴いてみたら、たくさんのアーティストの中で一番ピンときたんです。思春期で、さらに性についてのトラウマがあった私にとって、「好きなのに言えない」っていう歌詞たちが自分の気持ちを代弁してくれているみたいでした。当時は家庭環境が複雑だったので、居場所がない家の中で唯一aikoだけが心の支えでしたね。今でもaikoが大好きで、最近買ったアルバムも大のお気に入りです♪

 

好きな男性のタイプは?
一番は話がずっとできる人がいいかな。相手が話し上手というだけではなくて、私が自分のことをどんどん話したくなる、聞き上手な面も持っている人が一緒にいて楽しいなって思います!これまで好きになった芸能人の方はけっこう見た目のタイプが違うので、ビジュアルの好みはあまりないのかも…。私は男性の口元に色気を感じるので、そこが重要かな?そんな色気の中に少年のような心が見えたりすると、そのギャップにキュンとしちゃいます♪

 

 


伝えることで、ゼロになることはない

ー本当の自分を出せないあなたへー
誰でも自分のことを話すのは怖いし、相手に拒否されたらどうしようって不安もあると思います。でも伝えることで、誰か手を差し伸べてくれる人は必ず現れる。自分が分かってほしいと思う人ではないかもしれないけど、必要としているタイミングで突然のいい出会いはあるものなんです!だからどんな時でも一人ぼっちになってしまうことはないと思います。いつか自分のことを振り返った時に、「言ってよかった」と思えるような幸せな未来が待っていると私は信じています。だからまずは隠さないで誰かに伝えてみることで、本当の幸せや楽しさを見つけることができるんじゃないかな。

 

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photographer macoty / hair and make-up Rumi Yui Emiri / stylist DELIVA ANNA director maedomari / costume cooperat ion Bershka JAJA QUEEN

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