Cover Interview いーどぅし 「“音”と“声”と“言の葉”で 沖縄を伝えたい」
2019.10.25
SNSから人気に火が付き、注目を集めるユニット”いーどぅし”。 今風のJ-POPと懐かしい三線の音色、透き通るように優しくも 芯のある歌声が融合した二人の音楽は心にスーッと染みわたります。 そんな音楽を奏でる二人の出会いから始まりお互いへの思いまで、 ぜ〜んぶ語り尽くしてもらいました!
大学の教室で隣に座った瞬間からパートナーだった
二人の人生を変えた“海の声” 「これは使命だ」と覚悟して東京へ
いーどぅし結成の経緯は?
かーなーはすでにソロでの歌手活動もしていたので、二人での活動は息抜き感覚で。年に3回ある学内オーディションの帰り道、久しぶりに二人で歌おう!って海に行ったんです。その時ノリで歌って撮影したのが、注目されることになった「海の声」。軽い気持ちでツイッターにあげたら8万リツイートくらいきて、フルバージョンをぜひ!と。リクエストに応えるカタチでYouTubeにアップしたら250万回を超える再生数という状況になり、私たちの方が驚きでした。
この後に「私ソロやめるから、一緒に音楽をやろう」って正式に私から誘いました。これはきっと、私たちの使命だねって話したのを覚えています。
東京に行って変わったこと、変わらなかったこと。
東京には、いろんな音楽を生で聴く機会がたくさんあります。一歩外に出れば、誰かが路上ライブをやっている。この環境の変化はとても大きくてすごく勉強になります。
変わらなかったというか、意識して染まらないようにしていることの一つに方言があります。「沖縄」は私たちが伝えたいことの一つだし、大きなアイデンティティー。いつも三線を触っているから忘れることなんてないと思うけど。
初めての大ゲンカで解散寸前!? 殴り書きの「いーどぅしサーサー」
今までで一番大きなケンカは?
東京に行ってモチベーションの違いで大ゲンカしたことがあります。曲書いて来てって話したのにその日までに仕上がってなかったり…。
そうだったっけ?すごいケンカをしたのは覚えてるんですけど(苦笑)。
ほら!そこを忘れてるって逆にすごくない(笑)?その時「そんなんだったら、もう私ソロに戻るから」って言ったんですよ。ちょっと引き止めるって思うじゃないですか。そしたら「じゃあ私も」とか言い出して、「えーそっち!」ってなっちゃって。
かーなーがそう言うなら仕方ないなって思ったというか…。でもこの頃イベントが重なってて、まったく話さないから、実は曲順も分からないままステージに上がってました。かーなーのMCとか弾きだしで「次はこの曲だ!」と知るような感じで(笑)。
その状態からどうやって仲直りを?
曲を書きました。自分から解散話をしたものの、まさかの同意空気に逆に火がついて。「いーどぅしはもっともっとできるはずなのに!」と思ったんです。だから、曲を作って夜中に送りつけたんです。それが「いーどぅしサーサー」。いーどぅしの自己紹介曲なんですが、もう歌詞は悔しさとかも入り混じり殴り書き(笑)!
そうそう、夜中に鼻歌と歌詞も一緒に送られてきて。その時、特に何かを意識した訳ではなく自然とギターを持ってコードを考えてました。その日は偶然沖縄に仕事で来ていて、次の日に瀬長島で普通に曲合わせをして、この曲はこれでいこうってなりましたね。
作った時の心情もあって、歌詞がけっこう強気なんです。「どうか今日はあなたの耳と心を任せてみて下さい」ってフレーズは、この時じゃないと書けなかったと思います。お願い、聞いて!という思いから出た言葉だから、結果としてこのケンカは良かったんだと思います。でも今考えたら、自分から謝ってこいじらーですよね(笑)。
いーどぅしはまだまだこん なもんじゃない!
ワルい恋愛は一緒にリセット? 沖縄にとって特別なROAD TO 2022
恋愛は音楽活動に影響する?
良い恋って曲にも歌詞にもプラスになることばかりだと思うので、お互いに恋愛をセーブしようとかは全然ないですね。でも、逆に悪い恋愛は絶対やめた方がいい。
実はいーどぅしを結成するちょっと前くらいに二人とも当時の彼氏と別れたんですよ。音楽のために我慢とかではなくて、本当にお互いから見ても良くない方々だったんで(苦笑)。
今日一緒に別れよう!けじめつけよう!って決めて、私はちゃんと別れてなみなみに電話したら「無理だった」とか言うんですよ!信じられない!
私、本当に優柔不断で…。そしたら、かーなーが車で迎えに来て相手の家の前で「別れてこい!」って降ろされまして。何とか別れてかーなーの待つ駐車場へ戻りました。元彼とけじめつけろ!って言う今彼みたい(笑)。でも、背中を押してもらって助かりました。その節はありがとうございました!
これからの目標は?
一番近い目標としては、2022年を目指しています。沖縄にとって本土復帰50年という節目の年。沖縄が全国から注目されるこの時までに、沖縄を代表するアーティストになっていたいです!
すでに動き出していて、曲作りも進めています。この2022年に、沖縄を歌った私たちの曲がどこかで流れてくれていたら嬉しいです!
最後に、ビオ読者に一曲贈るとしたら?
「鳳仙花」という曲を贈りたいです。てぃんさぐぬ花のリメイク版で、きっと懐かしい気持ちになると思うし、お子さんがいる方には子守唄にもなると思います。ぜひ聴いてみてください!
あ、名前の由来 は、ただただただ “良い友達”の 2人ってことです(いーどぅしサーサーより)
Q.ステージで一番大切にしていることは?
『感謝の一礼』
ステージに上がる前に思うことは、その場所にこれまで何千何万の人たちが立ってくれたおかげで、今自分たちに歌う場所があるんだということ。ステージにはその人たちの魂も宿っていると思っているので、「お邪魔します」という思いで感謝と畏敬の念を込めて一礼する。この場所がなければ、目の前のお客さんとの出会いもなかったと思うから。
『音を楽しむこと』
お客さんを楽しませるのは大切だけど、まずは自分が楽しむことを心がけてる。音を楽しむで音楽だから!実は沖縄でのステージが一番緊張する…。ホームだけど、だからこそ逆にみんな三線をやっていたり、沖縄の音楽に関しては耳がいいというか。勝手な思い込みだけど家族とか友達とかいると、「どれだけ成長したか」とかジャッジされてそうでさらに緊張が(苦笑)
Q.相手に直してほしいところは?
『ご飯はちゃんと食べれ!』
体が小さいからか多分食べられないんだろうけど、ちょこっとだけ残そうとするのはやめてほしい!あと一口二口とかだと、私が諦めきれなくてつい食べてしまい、結果私だけ太っていくという…。
『たまにヌケた時の 振り幅がハンパない』
基本的にかーなーはとってもしっかりしてて、すごくリスペクトしてる。でも、たまに「何で!?」と衝撃的なヌケ方をすることがあって。先日は福岡のライブで、飛行機で福岡入りしてライブ会場まで新幹線で一駅(約20分)だったのを、なぜか乗り過ごして広島まで行ってしまい…。新幹線の席が別だったから、私はギターと自分とかーなーのスーツケースを何とかおろして、窓から降りるよ!って合図するのに、こっち見ながら「ん〜?」みたいな表情してて。すぐに降りることを分かってなかったみたいで、あー!って過ぎて行くのを見送るしかなく。3時間前行動だったので(苦笑)、ライブにはギリギリセーフだったけどかなり焦った。
Q.相手の好きなところは?
『私についてきて くれるところ』
私は常に人より3倍速で何かを吸収していたいタイプ。欲張りというかせっかちというか。普通の人はそのペースを求められると息苦しく感じると思うけど、なみなみはついてきてくれる。そして本人に自覚はないと思うけど、たまに暴走する私に「立ち止まって考えること」を教えてくれる。普段は恥ずかしくて絶対言わないけど…実はちょっと尊敬してる。
『行動力があってポジティブなところ』
落ち込んだ時には、かーなーのポジティブ精神と行動力にとっても助けられてる。上京する時って覚悟がすごく必要だと思うけど、かーなーはサラッと「行くよ!」って感じで、そのついてこい!って背中がめっちゃ格好良かった!
Q.いーどぅしの中で一番思い入れがある曲は?
『エール』
高校を卒業して上京する親友のために、人生で初めて書いた曲。大好きなその子のために素直な気持ちをそのままぶつけて作ったので、曲としてはかなり荒削りで…。でもだからこそ、大切な人が旅立つ時の待つ側の気持ちが全部ダイレクトに詰まってる。今はお互いに東京で頑張っていて、私もこの曲に励まされている感じ。実は、今日つけているこの花のピアスはその親友にもらったもの。お守りみたいに大事にしてる♪
『エール』
最初のオリジナルソングでもあるし、今の自分にすごく当てはまるなって。上京する前は沖縄から内地に向けて歌ってたんだけど、実際に自分たちが飛んでみるとこの曲の聞こえ方がガラリと変わった。エールはサビの部分だけのハモリで、その間のかーなーの歌を聴きながら隣でちょっと泣きそうになってる(笑)。
Q.自分が男だったら相手のどこに惚れる?
『小動物みたい& ギャップ萌え』
基本的に仕草がとっても女の子らしい。ちっちゃくて小動物みたいだし、性格ものんびりしているしちょっと天然で癒されるんじゃないかな。プライベートで一緒にいるときは、ちまちました食べ方とかも可愛らしいな〜って思う。でも、仕事では「早くしれー!」ってなるけど(笑)。それから、こんな見た目&仕草なのに男勝りでキツめの沖縄方言が飛び出るからビックリするはず。「〜あるば」とか言う感じも、ギャップで魅力かな。
『顔!』
世の中の人、みんなそうだと思う!モデルじらーな顔がめっちゃ可愛い!スタイルもいいし憧れる。
PROFILE
2015年、「海の声」をカバーしたYouTube動画により一躍時の人となった、かーなーとなみなみの二人組ユニット。大学卒業を機に活動の拠点を東京に移し、今年8月に発売された3rdアルバムには尊敬するBEGIN・島袋優プロデュースの楽曲も収録。現在は多くのフェスやイベントに参加し活動の幅を広げている。(上:かーなー 下:なみなみ)
衣装協力/Bershka ヘアメイク・スタイリスト/apice
沖縄県立芸術大学で三線を専攻していた唯一の同級生でした。授業も私たち二人対先生みたいな感じで、必然的に一緒にいる時間がとても長くて。休み時間にハモり合ったりして遊んでました。楽器も自由に使える環境だったので、三線と何かを合わせてるうちにしっくりきたのがギター。最初は本当に遊びの延長だったんです。